魔人ドラキュラ(スペイン語版)Dracula(1931)

●ユニヴァーサル (魔人ドラキュラの、スペイン語版)

内容

ブラム・ストーカー「吸血鬼ドラキュラ」を映画化したもの。

出演

カルロス・ヴィラリヤス、ルピタ・トヴァー、バリー・ノートン、エドゥアルド・アロザメナ、パブロ・アルヴァレス・ルビオ、カルメン・グエレロ

スタッフ

製作……ポール・コーナー
監督……ジョージ・メルフォード
通訳……E・トヴァー・アヴァロス
撮影……ジョージ・ロビンソン
翻訳……フェルナンディス・クエ
美術……チャールズ・D・ホール

その他情報

  • ユニヴァーサルのスタジオで、ブラウニングの「魔人ドラキュラ」と、ほぼ同時進行で作られた
  • 脚本は、英語版を翻訳して使用した
  • 本作は、日本未公開であり、一時期は世界的にも「幻のドラキュラ映画」であった。普通、ユニヴァーサルの「魔人ドラキュラ」と言えば、監督ブラウニング、主演ルゴシの方であり、こちらが世界中でメインに上映されたため、スペイン語版は、英語圏ではよほどマニアックな吸血鬼映画ファンにしか、その存在すら知られていなかったのである
  • 本作は、公開当時のフィルムは、2本しか存在が確認されていない。(「幻」と呼ばれる所以である)一本は、ユニヴァーサルが、もう一本は、キューバの(よりによってキューバとは!)シネマテカ・キューバが保管している
  • 上記の二本のフィルムのうち、ユニヴァーサルのものは画像の劣化が激しく、キューバのもののほうが圧倒的にきれいだとされている。ユニヴァーサルのものは、特にドラキュラ城の三人の女吸血鬼の登場シーンの画質が劣っている
  • ユニヴァーサルは、「ブラウニング版よりも、むしろスペイン版の方が、映画として優れている」とする一部の声を受け、劣化したフィルムの修復に乗り出した。現在では、かなりきれいな画像に復元されたとのことだが、やはり「三吸血姫」のシーンの修復は、難しいらしい
  • 本作が、日本で始めてTVで放送されたとき(NHKBSだった)、日本の吸血鬼ファンは画面にかぶりつくようにして見たものである。(だって、「幻」だったのだから!)そして、問題の「三吸血姫」のシーンで、「なるほどここか」と思ったものである
  • 本作は、確かにスピード感やダイナミズムにおいては、ブラウニング版を凌駕している面も大きいと思う
  • 私は本作が好きであるし、ヴィラリヤスの演技も素晴らしいと思うが、スペイン語をしゃべるドラキュラ伯爵に慣れるのに、少々時間がかかった。(スペイン語って、なんか騒々しいんですよね。重々しいルゴシの英語に慣れている身には、ヴィラリヤスの「ペーラペーラペーラペーラ!」としゃべる伯爵がちょっとおかしく感じた)
  • 本作では、英語版でカットされたフィルムが何箇所か使用されている
  • 撮影期間は、1930/10/10~11/8。たった22日間で完成した
  • スペイン語版の試写を見たルゴシは絶賛したという。絶賛したからではないと思うが(会社の指示でしたのだと思うが)、ルゴシはロスの劇場でのスペイン版公開の際、舞台挨拶に登場した
  • 撮影にかかった金額=66069ドル35セント
  • 製作者のコーナーと、ヒロインを演じたトヴァーは、後に結婚している
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