ブラム・ストーカー著「吸血鬼ドラキュラ」の登場人物。正確には「ウィルヘルミナ・ハーカー」なのだが、全編にわたり、愛称ミナで呼ばれている。
ミナ・ハーカーとは
主人公ジョナサン・ハーカーの婚約者。
ドラキュラ伯爵に襲われるルーシー・ウェステンラの親友。
職業は助教師。(家庭教師か、非常勤教師みたいなもの?)
速記術が得意。(ジョナサンの仕事に協力するために習った)
親友の夢遊病が、ミナを吸血鬼事件に巻き込む
もともとのミナは、ごくごく普通の、結婚を控えた若い婦人であり、特にモンスターに縁のある人ではなかった。古風な怪奇小説によくある、「過去(もしくは先祖)に、何かよからぬ因縁がある人」ではない。また、モンスターハンターの血を引く人でもなく、特殊能力を持つ人でもない。
彼女は、夢遊病持ちの友人に付き添っていたため、たまたま吸血鬼に目をつけられ、それに反撃しただけである。
ミナ・ハーカーは、強きヒロイン
ミナは、「吸血鬼ドラキュラ」執筆当時の物語のヒロインとしては、先進的で強い女性に描かれている。
ジョナサンの危機に、単身トランシルヴァニアに飛び(現在の東欧旅行と比べられない旅である)、現地で結婚を即決。
ジョナサンが、ドラキュラ城に襲われたことを知ると、吸血鬼の蔓延を阻止し、ルーシーの無念を晴らすために、ヴァンパイアハンターに加わることを決意。彼女は、行動力と、戦う意思を持ったヒロインである。
昔風の、「モンスターの恐怖に、なすすべもなく餌食となり、はかなく命を散らせる美女」のヒロイン像は、ミナの親友のルーシーには当てはまるが、ミナには無縁である。
「強さ」と、「豊かな愛情」は、彼女のキャラクターの大きな魅力である。それは、読者も、作中の同志たちも惹きつけるばかりか、多くの創作家たちの注目する題材となり、ドラキュラ映画では、「この作品では、ミナが誰につくのか」で、作品の主旨・エンディングが変ってしまう(強きヒロインが、吸血モンスターに寄り添う道を選ぶ作品は、数多く生まれている)。
ヘルシングとともに、ドラキュラを倒す
※以下の文で、「吸血鬼ドラキュラ」のネタバレをしています
原作「吸血鬼ドラキュラ」のミナの役回りは、
- ルーシーの吸血鬼被害と死を目の当たりにする
- ルーマニアで吸血鬼にとらわれていたジョナサンの元へ飛び、結婚
- ジョナサンや、ヘルシング教授、ルーシーを慕う仲間達とともに、ヴァンパイアハンターとなる
- ドラキュラとの闘争中に吸血され、吸血鬼化が始まる
- ドラキュラが滅ぼされると、吸血鬼化から逃れる
- ジョナサンと家庭を築き、男児の母となる
ということになる。
ジョナサンとの間にできた男の子には、ドラキュラ退治で命を落とした仲間キンシーの名前がつけられた。