F・マリオン・クロフォード作「血は命の水だから」に登場する吸血鬼。元は人間。
クリスチーナは、南イタリアのある村に住む、多分ジプシーの娘。黒髪の、ワイルド系美人。肝がすわっていて、口は悪いが気がいい娘。定職を持たず、もらえる仕事は何でも引き受けて生計を立てていた。
村の財産家アラリオの息子、アンジェロを愛していたが、アンジェロには婚約者がいたので、振り向いてもらえなかった。クリスチーナを慕うハンサムな羊飼いもいたのだが、クリスチーナは相手にしなかった。
アラリオが危篤になり、医者を呼びに行かされ、帰りの山道で盗賊に殺され、山中に埋められる。
しかし、その後墓から蘇り、恋しいアンジェロの元に吸血鬼になって現れる。夜毎アンジェロの生き血を吸うが、司祭の力を借りた村人アントーニオの手で、胸に杭を打たれて、鎮められる。
しかし、吸血鬼としては出現しなくなった後も、彼女の眠る墓の上には、月光がさす夜は必ず、死体が横たわる幻が現れる。
近づく者があれば、死体はその人間に取りすがろうとし、物悲しい泣き声を上げる。
成仏したのかしないのか、不明である。
●「血は命の水だから」収録の短編集→「真紅の法悦」