ケビン・J・アンダーソン(Kivin J Anderson)作
※ネタバレしています※
ストーリー
ユニヴァーサルスタジオで、「魔人ドラキュラ」の撮影に入っているベラ・ルゴシは、楽屋でモルヒネを注射する。すると、モルヒネのせいか、急に周囲の様子が変わりだす。
気が付くと、ルゴシは古い城の中に居て、目の前に現れた人物が「ヴラド・ドラキュラだ」と名乗る。
城の周囲には、言い伝えられるとおり、串刺しにされた人たちが山をなしていた。
ヴラドは、ルゴシを天使と勘違いし、罪の許しを乞う。
ルゴシは、自分は天使ではないこと、遠い未来から来たこと、許しを与える力は無いことを話し、ヴラドの苦しみにみちた告白を聞く。ルゴシは、真の恐怖がどんなものかを思い知る。
ルゴシは、ヴラドに「もう人を殺すな」と言い、「互いに恐怖から学ぼう」と呼びかける。
ヴラドはルゴシの言葉を理解し、
「一度も死んだことが無い者にしては知恵者だ」
と言う。
ルゴシのモルヒネが切れ始め、二人は別れを告げる。
モルヒネから醒めたルゴシは、モルヒネに逃避することをやめようと、心に決める。
ドラキュラと、ドラキュラスターとの会見は、果たしてルゴシの夢だったのか? それとも、二人は本当に時空を超えて出会ったのだろうか。
吸血鬼ドラキュラファンにはたまらない!
- この作品は、「吸血鬼小説」ではなく、「ドラキュラ小説」である。なぜなら、本作のドラキュラは、吸血鬼だとは、一言も書かれていない
- ベラ・ルゴシが何者か、ヴラド・ツェペシュが何者かという予備知識が無い人は、本作を真に楽しむことは難しい
- 吸血鬼ドラキュラファンにとっては、ヴラドとルゴシが「ドラキュラ」「ルゴスのベラ」と呼び合うのは、嬉しすぎて辛抱たまらんものがある
- 作者は吸血鬼ファンなのだろうか?
邦訳状況
竹書房文庫「妖魔の宴 ドラキュラ編2」に収録。小倉多加志訳。現在絶版。