一本足の女

一本足の女

岡本綺堂

※ネタバレしています※

ストーリー

里見家の家臣、大滝庄兵衛は、ある日乞食の美少女に出会う。
少女は、自分の名も知らず、親の顔も知らず、片足をなくしていた。美しい少女の不幸を不憫に思った庄兵衛は、中間の家に少女を住まわせ、お冬と名づける。

やがて、美少女は更に美しく成長し、庄兵衛と夫婦となった。
庄兵衛夫婦は主家が潰れたために江戸に向かう。しかし、江戸での生活は苦しく、庄兵衛はある日人を斬って金を盗んでしまう。家に帰って庄兵衛の刀を見たお冬は、喜んで血を舐め始めた。その日から、お冬にせがまれて、庄兵衛は人を斬っては血を集めて、お冬に与えるようになった。お冬は、血を舐めるだけで、犠牲者の性別や年齢を正確に当てることができた。

辻斬りを50人ほども重ねた末に、庄兵衛はつかまり、今まであったことを役人に告白。お冬をも捕縛するべく捕りかたが庄兵衛宅に向かったが、お冬は一本足にも関わらず男よりも早く走り、ついには隅田川に飛び込んで行方知れずとなった。

憑き物が落ちたようになった庄兵衛は、「牢の外にお冬が現れて自分を呼んだ。早く自分を罰して欲しい」と申し出て、磔となった。

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登場する吸血鬼の特徴

  • 作品中に「吸血鬼」との表現は無く、自力で吸血しているわけでもないので、「吸血鬼」と呼ぶには不適当であるかもしれない。下敷きとしているのは中国の鬼女らしい
  • 人の血は好きだが、犬の血は嫌い(犬の血かどうか判別できる)
  • 獲物にかぶりついて吸血することはできず、人に血を集めさせる
  • 走るのが速く、泳ぐのも速く、人とは思えない身体能力を持っている(実際には人なのか、物の怪の類なのか、本当に吸血鬼なのか不明である)
  • 「血を舐めたい欲求」が、辻斬りしてきた刀を見てから開花したのか、それ以前からあったものなのか、一切不明
  • 少女乞食の頃から、人に取り入る術のようなものが身についていた
  • 最も身近にいた夫の血を欲しがった様子は無い

《出版状況》
「血と薔薇のエクスタシー」に収録

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