私の吸血学

著者:岸田 理生

吸血鬼の「研究本」と言うには、内容的には薄い。特に、現在の吸血鬼本を読みなれた読者には、物足りないと感じる部分も多いし、内容的には不正確な点も少々含まれる。が、「女寺山修司」とも言われた著者の吸血鬼愛を感じる、一種独特な吸血鬼書。
研究というよりも、吸血鬼の世界に深く入り込んだエッセイ風短文、という趣である。

本書をどのように説明したら良いのかは非常に悩むところなので、とりあえず目次を列記してみると、

第一章 吸血戚族考
第二章 ワラキアの王
第三章 鏡と大蒜
第四章 クリストファー=ドラキュラ=リー
第五章 吸血鬼文学小論
第六章 風変わりな吸血鬼たち
第七章 吸血鬼画廊
第八章 さまよえる父
第九章 吸血鬼と鬼
第十章 実録・吸血鬼
第十一章 女性吸血鬼の肖像
ちのみごぞうし

と、なっている。
上にも書いたが、情報としては薄口で、現在はもっと正確で濃い口な吸血鬼のデータ本はたくさんあるので、情報が欲しい人はそちらを読まれる方が良い。
ただ、岸田ワールドで吸血鬼が語られているのが読みたい人には、他の書物では得られない空気を味わう意味でお勧めである。

参考:私の吸血学

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