※ネタバレしています※
「血の末裔」のストーリー
ジュールスは、吸血鬼になりたくてたまらない少年。医者には「白痴」と診断されている。
ある日ジュールスは、将来の夢(=吸血鬼になりたい夢)を書いた作文を学校で読み上げ、学校をやめてしまう。毎日を目的もなく徘徊して過ごすようになり、動物園で飼育されている吸血蝙蝠を見つけ、それがドラキュラ伯爵の生まれ変わりだと思い込む。
ジュールスは、蝙蝠の檻を破って外へ連れ出し、自分で首を刺して、流れる血を蝙蝠に吸わせた。
出血で瀕死のジュールスのそばに、真っ赤な目をした男が現れ、ジュールスに「息子」と呼びかけた。
「血の末裔」 物語の特徴など
- 最後に現れる謎の男は、多分ドラキュラその人っぽいのだが、そうとは明記されていない(その男が吸血鬼かどうかも書かれていない)
- この後、ジュールスも吸血鬼の仲間入りをするのかなあと思われるが、そうとは明記されていない
- 本作の吸血シーンは、吸血蝙蝠による吸血のシーンのみである。つまり、厳密に考えるなら、吸血鬼小説ではないとも言える
- こう言うのもナンだが、「憧れを追い続け、限りなく憧れの扉を叩き続け、ついに受け入れられた少年の物語」と言えば言える
「血の末裔」の邦訳状況
- 「ヒッチコックマガジン 38号」に収録。矢代邦彦訳
- 朝日ソノラマ「モンスター伝説」に収録。仁賀克雄訳
- 原書房「モンスター伝説―世界的怪物の新アンソロジー」 (ソノラマ文庫―海外シリーズ)に収録。仁賀克雄訳
- 国書刊行会「吸血鬼」 (書物の王国)に収録。仁賀克雄訳
- 新人物往来社「怪奇幻想の文学〈1〉真紅の法悦」に収録。仁賀克雄訳