ジョナサン・ハーカー Jonathan Harker

ブラム・ストーカー「吸血鬼ドラキュラ」の主人公。ロンドンに住む青年。弁理士事務所に勤め、自分も弁理士の試験に受かったばかり。

ジョナサン・ハーカーが、ビジネスの用件でトランシルヴァニアのドラキュラ伯爵に会いに行くところから、「吸血鬼ドラキュラ」は始まる。
ドラキュラ城に着いたハーカーは、やがて伯爵が吸血モンスターであることと、英国を恐怖に陥れようとしていることを知る。

ドラキュラ城を単身脱出したハーカーは、ショックによる脳炎で倒れ、病院から連絡を受けてルーマニアに飛んできた恋人ミナ・マリーと、現地で結婚。

妻と英国に戻ったハーカーは、ミナの親友ルーシーがドラキュラの餌食になったことを知り、ヘルシング率いるヴァンパイアハンターの一人となって、伯爵を倒す。

ジョナサン・ハーカーのキャラクター

「吸血鬼ドラキュラ」は、ジョナサンの語りから始まり、ドラキュラ伯爵がモンスターであることに最初に気づくのも彼である。また、ドラキュラを最終的に退治するのも彼である。ジョナサンは、れっきとした「ドラキュラ」の主人公なのだ。

しかし、どうもキャラクターとしては、ドラキュラ伯爵とヘルシングに迫力負けし、気高いカッコよさは妻のミナに持っていかれ、大きな存在感を残すには至っていないように見える。
その証拠に、映画界で、印象的なドラキュラ役者、ヘルシング役者、レンフィールド役者はいても、「強烈なジョナサン・ハーカー役者」は見当たらない。

映画化や舞台化された「吸血鬼ドラキュラ」や、パロディ、パスティーシュの類でも、「ジョナサン・ハーカーの内面に迫った作品」「新たなジョナサン・ハーカーの解釈を見出した作品」は少ない。その点では、キンシーにも後れを取っているのだ。

私には、ジョナサン・ハーカーは、まだまだ採掘されつくしていない鉱脈の一つに見える。
なにしろ彼は、鮮烈な「ドラキュラ登場シーン」と、怪談ではもっとも読者の胸を躍らせると言われる「モンスター登場の前触れシーン」に同席している、唯一のヴァンパイアハンター側キャラなのである。

もしも新たなドラキュラ映画(ドラマでもゲームでもなんでもいいが)が作られるとして、超イケメンなジョナサンを登場させ、彼の悲しみ・葛藤を深く描いたなら、ジョナサン・ハーカーのキャラクターは、今後のドラキュラビジネスに大きく貢献することになるだろう。

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